太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクトって?参加方法や金額・いつまで?

ツイッターで「太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクト」が話題になっていました!

いったいどんなプロジェクトなのか、さっそくまとめてみました!

スポンサーリンク

薄緑(膝丸)とは

「薄緑(うすみどり)」「膝丸(ひざまる)」は、鎌倉時代に作られたと伝わる太刀(たち)です。

●太刀(たち)とは
平安時代や戦国時代にメジャーだった刀剣の種類。
江戸時代とは違い、馬に乗ることが前提にあるため、刀の反りが下向きになっている。
刀のこじり(鞘に納まっている刀の、切っ先の方)が、馬の尻に当たると馬が暴れるため、両端が上に上がるような形で腰に提げる。

さて、薄緑(膝丸)には様々な伝承があるのですが、簡単に言うと「罪人を試し切りした際、膝まで切れたから膝丸という名前がついた」と伝わり、源義経によって「薄緑」という名前がつけられたといわれます。
揃いで作られた「髭切(ひげきり)」という刀とともに、源氏の重宝とされていたといいます。

『平家物語』によれば、巻では、平安時代に源満仲の命令で作られたそうですが、源頼光が山蜘蛛(土蜘蛛)を切って「蜘蛛切」という名前を付けたり、源為義が持っていたときには夜な夜な蛇の泣くような声で吠えたから「吠丸」、など、たくさんの名前を持っている日本刀でもあります。
その後、熊野別当行範に譲られたものの「源氏重代の刀を自分が持つべきではない」と思い熊野権現に奉納してありました。
それを、後の熊野別当湛増が源義経に「吠丸」を贈り、喜んだ義経が「薄緑」という名前をつけました。

刀は、持ち主を点々とすると、こんな風に様々な名前がつくことがあります。


スポンサーリンク

薄緑(膝丸)は存在している?

実は、膝丸とされる刀は、「複数存在している」状況です。

古い刀ということもあり、名前もたくさん持っている「膝丸」。

今回プロジェクトを行う大覚寺所蔵の薄緑(重要文化財)も「膝丸ではないか」といわれていますし、箱根神社も「薄緑丸」という日本刀を所蔵しています。
また、北野天満宮には「髭切」という刀剣が所蔵されています。

もうどれがどれだか(笑)という感じですね。

根拠は、大覚寺所蔵「薄緑」に付属している『薄緑太刀伝来記』。
“源満仲は「鬚切」「膝丸」の二振りの太刀を所持し、この「薄緑」を「膝丸」とする”と記されているそうです。

北野天満宮所蔵の「髭切」と同じく、伏さり気味となる小鋒と腰元で反る太刀姿に時代性が感じられる。

銘の一文字目が大きく破損しているのは、刀身を造った時の共鉄で造られた鉄鎺(はばき)の影響とされる。

大覚寺所蔵「薄緑」の刀剣の特徴は、以下の通り。
“地鉄はよく詰んだ小板目肌で、直調(すぐちょう)に小足の入った小丁子(こちょうじ)・小互の目(こぐのめ)交じりの刃文に淡く映(うつり)が立つ。”

こうした特徴は、古備前(こびぜん)派の作風の特徴であるから、作者は長船派・光忠の父、古備前派・近忠ではないか、と考えられています。
実際には、近忠の作だ、と銘が入ってはっきりとわかっているものが現存していないので、比較ができず、「そうだ」と言い切れない状況にあります。

公開も行われたりしています。


スポンサーリンク

太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクトって?

いわれのいっぱいある「薄緑(膝丸)」ですが、大覚寺では「太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクト」というものが行われる、とTwitterで話題になりました!

実は、平成30年京都国立博物館の特別展『京のかたな展』のために京都の古社寺に所蔵されている刀剣を再調査したところ、「太刀/薄緑(膝丸)」の刀の箱に《太刀 銘 █忠》とあったのですが、この刀剣と刀箱がイコールではなく、別の刀の箱だと判明したのです!
しかも「薄緑(膝丸)」は、GHQの監査対象刀剣だったので、白鞘には当時「儀式用刀剣証明書」として申請した時の貼紙が貼ったままになっているんです。
さらに「薄緑(膝丸)」は、経年劣化で鞘の合わせ目が割れていたことがわかりました。

こうした調査報告から「大覚寺所蔵文化財保存修復事業」の一環に「太刀/薄緑(膝丸)」の修復を加えて行うことを決めたそうです。

「太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクト」で「勧進(かんじん)」つまり「社寺や仏像の建立・修理などのために、浄財(資金、金品の寄付)を募ること」を行うことになりました。
もともと勧進には、浄財を寄付を行うことで、人々には善根功徳(ぜんこんくどく)を積んでもらおう、という名目があります。

スポンサーリンク

参加後は何が行われる?薄緑は見れる?

「太刀「薄緑(膝丸)」結縁プロジェクト」で「薄緑(膝丸)」は、「白鞘(しらさや)」「鎺(はばき・鍔(つば)の近くにある、刀身に嵌めてある金属)」の2つの修復と、「外箱の新調」が行われる計画です。
この作業を行うために「勧進(かんじん)」を行うことになったそうです。

スポンサーリンク