鮎がなぜ苦い?おいしい場所や川・旬と食べ方・レジャーを紹介!
6月~8月頃までが旬の川魚、鮎。
おいしい魚として有名ですが、中には「苦い」と感じる人も。
鮎が苦いと感じる人がいるのはなぜでしょうか?
また、鮎は川によって「味が違う」と言われる魚。
旬や産地、名前の由来、おいしい食べ方も知っておきましょう。
天然アユの特徴や、釣りの豆知識、鮎釣りができなくても家族で楽しめる漁などもご紹介します。
「鮎」名前の由来
「あゆ」という言葉は、日本古来の言葉です。
鮎は秋の産卵期になると川を下ってゆきます。
今でも「落ち鮎」という言葉がありますが、「あゆる(落ちる)」という言葉を由来とする説があります。
他にも、神前に供える食物を意味する「饗(あえ)」が由来とするなど諸説あり、実際のところはよくわかっていません。
「あゆ」には、はじめ「鮎」という字が使われていなかったといいます。
実は「鮎」という漢字はもともと中国で「なまず」を指しており、日本でもはじめは「なまず」を指していたとか。
最初は「あゆ」のことを、今でも使われる「年魚(一年で一生を終える魚)」と書いていたようです。
「あゆ」という漢字は、他にも「香魚」「銀口魚」「渓鰮(渓流のイワシ)」「細鱗魚」「国栖魚」「鰷魚」などなど。
普段は見かけない漢字もたくさんあります。
「鮎」という漢字は、いつからあてられたのでしょうか。
神功皇后(西暦169年~269年)が征韓の戦いの占いをするために「鮎」を釣り占ったとされ、「占」う「魚」であるという説もありますが、「鮎」が「なまず」を指していたとすれば、この説は成立しません。
他にも、鮎という魚は縄張りを作る魚であることから「占拠」の「占」と魚を組み合わせた字である、という説もあります。
しかし、こちらも日本で漢字を作り出したことになってしまうので、筋が通りません。
中国では「占」を「粘りつく」とし、「ナマズ」を指していたようです。
中国で鮎を指すのは「香魚(シャンユー、xiāngyú)」という漢字。
日本でも「香魚」と書いて「あゆ」と読みますので、共通で使える言葉です。
「鮎」は「香りの魚」?
鮎は「香魚」とも書きますが、鮎は本当に「香る魚」なんです。
調理後の姿しか知らないと、あまりわからないかもしれませんが、鮎は香りが強い魚。
生きている鮎の体から、本当に匂いがするんです!
しかも鮎の匂いは、スイカの匂いにそっくり!
鮎がスイカの匂いがするのは、体内で不飽和脂肪酸が酵素により分解されるときの匂いなのだそう。
食べ物や育ち方によって、匂いが変わるそうです。
それにしても、鮎の匂いの強さはホンモノ!
昔から、鮎がくる時期になると「川がスイカの匂いになる」と言われるほどです。
実際に鮎釣りをしてみるとわかりますが、一度手で鮎を触ると、帰り道中ずっと鮎のスイカの匂いがとれません。
帰りの車の中も、鮎のスイカの匂いでいっぱいになります(笑)
鮎が苦い?
鮎といえば夏の味覚。
味が濃く、すごく美味い魚で、塩焼きというシンプルな調理法が、すばらしくおいしい魚でもあります。
さて、そんな鮎など川魚を食べた時に「苦い」と感じる方がいます。
特に「内臓が苦い」とのことで、なかには「海の魚である秋刀魚(さんま)の内臓は苦くても食べられるのに」という方も。
一体何が違うのでしょうか。
魚の内臓が苦い理由は、胆嚢(たんのう)の胆汁(たんじゅう)が苦いためです。
内臓が取り除かれれば、魚の身自体に、苦みはありません。
そもそも「秋刀魚の内臓が苦い」というのも、新しければ内臓は苦いどころか甘いです。
鮮度のかかわりも、少なくないでしょう。
鮎に感じたことはないですが、特にニジマスは泥や土のような風味を感じます。
鮎に関していえば、育った環境で泥臭さが出ることがあるようです。
濁りが多い川だと、鮎の胃に泥が入るため、身にも匂いが反映されてしまうのです。
この場合は、内臓はすべて取り除けば大丈夫なことが多いですが、そもそも泥の少ない川で育った鮎は、泥の多い川の鮎とは味が全然違い、よりおいしいとか。
しかも同じ川でも、川底が大量の鮎によって擦れるなどして、汚れの少ない状態になると、その年はよりおいしい鮎になるとか。
鮎の苦みや匂いは、こうした環境や変化によって変わるのです。
鮎のおいしい食べ方!生食はできる?
鮎といえば、誰もが思い浮かべるのが「塩焼き」。
やったことはなくても、串にさして炭や直火で焼く景色は、イメージできるのではないでしょうか。
昔から、鮎は「塩焼きが一番」とされています。
味の濃い白身魚なので、塩が鮎の身の甘さを引き立てます。
塩焼きの鮎を食べ終わった後、骨を炙って熱燗の日本酒を注げば、骨酒のできあがり。
通にはたまらない一品です。
鮎は揚げ物にも向いており、天ぷらも人気です。
さて、日本人といえば「刺身」や「寿司」。
生で魚を食べるのが大好きな民族ですが、鮎の刺身はあまり聞いたことがありません。
実は、鮎には横川吸虫という寄生虫があることから、生食はあまり薦められないとされています。
鮎を刺身で食べるには、鮎を冷水で締めて「洗い」や「背越し」にします。
「洗い」とは、魚を薄く切った後、流水やぬるま湯で洗い流し、冷水(氷水)に浸けて身を引き締める調理法です。
白身魚の調理に使われ、スズキ・ヒラメ・鯛・アジなど海の魚でもやりますが、「洗い」といえばやはり鯉(こい)が有名です。
「背越し」とは、フナや鮎によく使われる調理法です。
頭・ひれ・はらわたを取り除きますが、骨はそのままにします。
そして骨ごと、薄く輪切りにしていきます。
切った身は、やはり「洗い」にし、たで酢・酢味噌などでいただきます。
若いあゆなど、骨がとてもやわらかい魚ならではの調理法です。
鮎を使った名物・珍味
琵琶湖で獲れるコアユは、稚魚の佃煮(つくだに)や成魚の甘露煮(かんろに)などが名物として売られています。
また「鮎寿司」というなれずし(発酵させた寿司)、「姿寿司」「押し寿司」「柿の葉寿司」「笹寿司」など、古くから伝わる鮨をつくる地域もあります。
JR京都駅の駅弁にあるので、手軽に手に入ります。
他にも「うるか」という、鮎の腸の塩辛があります。
なかなかお目にかからない珍味です。
さらに、あまりなじみのないものとしては「鮎節」というものがあります。
和食の出汁として珍重される鮎節のほかにも、鮎の干物から「水出汁」という出汁もあります。
とても上品な出汁となるそうです。
一番おいしい鮎の時期は?産地はどこがおすすめ?
鮎は、昔から「初夏の若鮎」が特に美味しいと言われています。
鮎は11月~5月の間は「禁漁」とされる川が多く、天然ものを食べることはできません。
産卵を守るためのマナーです。
初夏の若鮎とは、7月頃の鮎を指し、骨も柔らかく美味とされています。
地域にもよりますが、解禁の6月~8月頃までは味がよいでしょう。
9月を過ぎ、10月までの鮎は味が落ちるといわれます。
川や湖の淡水の魚は、夏を超えると味が落ちるというのが一般的です。
しかし地域によって違ってきます。
南の方が早く、北の方が遅くというのは、桜前線と同じですね。
また、産地によっても大きさや味が大いに異なります。
ごく小さな河川でも鮎は釣れますが、サイズは小さめ。
・那珂川(茨城~栃木)
・狩野川(静岡県)
・長良川(岐阜県)
・保津川(京都府)
・吉野川(徳島県)
・四万十川(高知県)
・馬洗川(広島県)
・日田川(大分県)
・球磨川(熊本県)
なかでも特に有名なのは、「日本三大清流」一つとも言われ、四国最長の全長196kmを誇る、四万十川。
「最後の清流」ともいわれるのは、四万十川の水もさることながら、本流にダムがないことから、環境破壊がなく昔の姿のまま流れていることです。
火振り漁や柴づけ漁など、日本古来の伝統的な漁がおこなわれることでも有名です。
関東では栃木、神奈川、茨城が鮎の名産地。
特に茨城と栃木をまたぐ那珂川は、「東の四万十川」とあだ名されています。
四万十川では温暖な気候のためか、鮎の旬が長く、6月~10月までおいしく食べられます。
栃木や茨城の10月は冷え込みますから、旬は地域差が出て当然ですね。
時期や場所によって釣り方が違う?
鮎最大の特徴は、釣りの手法に表れます。
鮎は最初、肉食なのですが、大きくなり、産卵期に向かい始めると、草食へと変わります。
岩に生えた苔のみを食べるようになるので、食べ物を確保するため、縄張りを張るようになります。
そこで起きるのが、鮎同士の「縄張り争い」。
鮎は川の中で、良い岩場を争います。
その習性を利用したのが「鮎の友釣り」といわれる手法です。
針に生きた鮎をつけ、泳がせるのです。
この鮎を「おとり鮎」と呼びますが、野生の鮎が縄張りを守ろうと攻撃してくるのを利用し、糸につけてある針で「かけ釣り」する方法です。
コケを食べるようになる前の鮎には、この方法は使えず、逆に餌釣りが可能です。
しかし友釣りの鮎には、どうしてもサイズは劣ります。
アユの友釣りの道具は特殊で、なかなか始めづらいと思います。
自分も川の中に入って、長いことたたずんだり、ポイントを変えたりするため、服装だけでもウェーダー(防水・保温性のスーツ)や小物の収納ができるベストは必須です。
釣り道具としてもイチから用意するのは大変。
・釣り竿
・タモ(ネット)
・引き舟(おとり鮎を入れておく小舟)
・天井糸(釣り竿付近の糸)
・水中糸(水の抵抗を受ける糸)
・ハナカン(おとり鮎と糸をつなぐ)
・中ハリス(ハナカンとおとり鮎の背びれにつける逆針)
・針ハリス(釣り針をつけるライン)
・掛け針(碇型の釣り針)
なかでも特徴的なのは、何といっても釣り竿。
長さは8~10mと非常に長く、リール(糸巻)はついていません。
手に入れるのも大変ですが、扱うのも大変です。
家族で鮎を獲る体験ができる「ヤナ」
「ヤナ」というのは、川魚の漁法の1つ。
川の流れをせき止めて、竹や木で組んだ「ヤナ」の上に流れ上がってきた魚を、手づかみで獲る、という手法です。
平安時代から既にあったというもので、自然の力を利用した、無理のない漁獲法です。
長良川・木曽川・揖斐川など、大きな河川でヤナ漁が可能です。
これらの河川がある岐阜県では、特にヤナ漁が有名です。
「ヤナ漁体験は小さい子供のみ」としているところも多いですが、夏休みの体験としては素晴らしいものになるでしょう。
参考にいくつかご紹介しておきます。
どちらもホームページが非常にきれいで、見ているだけでも楽しい気分になります。
○那須観光やな
那珂川の中でも、一番上流にかけられるヤナという環境の良さながら、インターチェンジや新幹線「那須塩原駅」からも近い交通の便というのは、なかなかない立地です。
設置時期は8/1~10/31、落ち鮎は9月〜10月頃です。
生け簀の掴み取りもあるので、「小さい子供もいるからヤナは不安」という方も安心です。
入場料金はありませんが、1人500円以上の注文が必要。
別途バーベキューやアーチェリーなど、レジャー施設が充実しているのも、ここならではの特徴です。
〒325-0001 栃木県那須郡那須町高久甲4389
(ナビ検索:栃木県那須郡那須町高久甲4500)
TEL:0287-62-1187
FAX:0287-62-1516
車:東北自動車道「那須IC」より車で5分
公共交通:JR東北新幹線「那須塩原駅」 でJR東北本線へ乗り換え「黒磯駅」で下車
関東自動車バス「那須湯本方面」バスで約15分 「上松子」バス停下車 徒歩約10分
HP:http://nasu-kankoyana.jp/activity/
【岐阜県】
○洞戸観光ヤナ
板取川唯一のヤナ場のあるお店。
通常毎年8月1日解禁となり、ヤナ場の設置は7月1日頃から始まります。
食事をすれば、鮎がとれない日でもヤナに上がることが可能です。
マスの釣り堀、川遊びもできます。
駐車場は大きく無料で利用可能です。
料金参考:生アユ一匹620円、一品料理620演~、コース3,100円~5,100円
〒501-2817 岐阜県関市洞戸小坂1712番地
TEL:0120-117287/0581-58-2217
FAX:0581-58-2229
車:美濃インターより約20分(名古屋ICより約60分)、岐阜駅より約45分
HP:http://www.horado-yana.com/
○天然鮎みやちか
ヤナ体験のみはできませんが、食事をすると会計後はヤナ場が無料開放!
しかも時間制限なく、長良川に設置されたヤナで遊ばせてもらえます。
ヤナの設置は、8月~10月の3か月間のみ。
食事の金額は、天然アユのコースとあってお高め。
単品:250円~1,950円(飲み物の価格含む)、コース:3,500円~10,000円
美並観光株式会社
岐阜県郡上市美並町上田2525
tel:0575-79-2160
fax:0575-79-3301
E-mail:info@miyachikaayu.com
HP:https://www.miyachikaayu.com/yanaryo
※これらの詳細はあくまでも参考です。どちらも必ず公式ホームページをご覧になるなど、お店に営業日や内容・金額を確認してご利用ください。自然のものですから、営業や時間・休業は特に変化しやすいと思われます。